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阿蘇谷湖

概要

南郷谷の久木野湖の消滅は約4万年前と考えられますが、一方、阿蘇谷は極めて平坦で、ごく最近まで湖が残っていたことがわかります。そのことは、阿蘇町赤水付近の「沼鉄鉱層」など湖水性の堆積物が存在することで裏付けられます。また、一の宮町中通片隅でのボーリングで、火口原の地表面下186㍍まで連続した湖水性の堆積物を報告しています。阿蘇谷にかつて存在した湖の始まりの時期を特定することは難しいが、最近まで湖が残っていたことは明らかです。
片隅では地下186㍍より深い部分(320メートルまで)の堆積物はその上の堆積物に比べて固結度が高いことから、地下186㍍に不整合をみとめ、それより浅い部分をカルデラ生成後の末期の堆積物と判断しています。

立野火口瀬をせき止めて阿蘇谷湖の形成に直接かかわったと考えられる溶岩は、年代や分布の高度などから推定すると、高野尾羽根溶岩の可能性があります。しかし、高野尾羽根溶岩の現在の分布高度では、湖面の水位が500㍍近くあった阿蘇谷湖の維持は困難です。おそらく、その後立野付近に達した赤瀬溶岩や沢津野溶岩は、地表で観察される限り、水中に流れ込んだ様子は見られません。このことから、阿蘇谷湖は一時的には湖水がほとんどなくなり、湿地となった時期もあったと考えられます。
阿蘇谷湖が出現した約4万年前から、カルデラの中心付近では、多くの火山が誕生しました。

阿蘇谷湖の消滅

阿蘇谷湖が消滅した時期については、明快な証拠がありません。ただ、縄文晩期(約3,000年前)までの遺跡が阿蘇谷の中心部に分布しないことや、弥生時代の舟の櫂が出土したことなどが示すように、ごく最近まで人が近づけないほどの湿地が残っていたことは間違いありません。
平成12年春に阿蘇町狩尾付近の河川工事現場で、地下約5㍍に鬼界アカホヤ火山灰が確認されました。鬼界アカホヤ火山灰の上には数層の黒ボク土を挟む厚い火山灰層が見られるが、明らかに湖に堆積したことを示す証拠は存在しません。また、内牧のボーリング試料の植物花粉を検討したところ、少なくとも6千年前までに湖が消滅していたと推定しています。
阿蘇湖の消滅の時期に関しては、狩尾付近で観察できた堆積物の研究などから、少なくとも約6,300年前よりも前と考えられます。

参考画像

参考

阿蘇火山の生い立ち

カテゴリ : 阿蘇の自然
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