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阿蘇谷の地下構造

概要

熊本県発行の平成8年度版『熊本の水資源』は、阿蘇谷の地下水について次のように記述されています。
「阿蘇谷には、主に火山礫、凝灰質シルト、ローム火山灰等からなる厚さ500㍍にも達する堆積物が谷を埋めています。これらの堆積物のうち火山砂礫層の部分と厚い堆積物の間に入り込んだ中央火口丘の溶岩流の亀裂部に地下水が胚胎しています。
当地域の地下水は、阿蘇火山の中央火口丘(高岳、中岳等の阿蘇五岳)の山腹や北外輪山一帯で浸透した地下水が、阿蘇北外輪山寄りを流れる黒川の低地に集まります。
そして、この阿蘇谷の主要な地下水の流れは、東から西へ高度を下げながら一の宮町宮地から阿蘇町赤水方面へ流れて、立野火口瀬へ流出しています。また、一の宮町宮地から阿蘇町役犬原付近にかけては自噴井戸が見られます」

花崗岩(主に角閃石黒雲母花崗閃緑岩)

南郷谷は白川によって谷が削られて階段状の地形を成し、平坦面をもたないのに対し、阿蘇谷は面積約67平方㌔㍍、標高約500㍍の平坦な盆地であることが特徴です。阿蘇谷の南側は中央火口丘の北側裾野に続き、北、東、西の3方向は高さ300㍍以上のカルデラの急崖となっています。
阿蘇谷の北側外輪山寄りには黒川が、中央火口丘を源とする古恵川、東岳川、西岳川、乙姫川と、北外輪山を源とする宮川、湯浦川などの河川を合わせて西へ流れています。また、宮川などの外輪山内壁から湧出した水は主に岩盤の上を流れているが、南側の中央火口丘側からの河川は厚い火山灰層の下に潜って伏流となるため、熊本から大分へ向かう国道57号の南側では河床に水が見られない場合が多い。
これまで実施された温泉や井戸掘削のためのボーリング結果から推定すると、阿蘇谷は下部の古いものから順に、花崗岩類、先阿蘇火山岩類(阿蘇火砕流噴出以前の火山岩類)阿蘇火砕流堆積物カルデラ埋積層カルデラ湖成堆積物とも呼ばれます)、中央火口丘の火山岩類、扇状地堆積物及び崖錐堆積物が分布し、その最上部を赤ボク、黒ボクと呼ばれる新規火山灰(ローム)層が覆っています。
花崗岩類は阿蘇火山体の基盤を成している地層で、阿蘇町や一の宮町などが温泉開発のために実施した深層のボーリング調査によっても、その存在が正確に確かめられています。一の宮町手野の一の宮温泉センターでは地表からの深度482㍍、同市宮地のアゼリア21では深度710㍍付近に分布しています。この地層は一の宮町の温泉に深く関係しています。内牧では同じく深度200㍍付近の地下に分布しています。つまり、西の内牧側が分布深度が浅く、東の一の宮側の方が分布深度が深くなっています。また、南郷谷側の高森町色見にある高森温泉館のボーリング調査結果では、地表から200㍍付近に花崗岩の分布が確認されています。ここも一の宮よりずっと浅くなっています。
この差はカルデラが形成された時期の陥没の場所と程度の違いを示すものと考えられています。

参考

阿蘇一の宮町史 阿蘇山と水

カテゴリ : 阿蘇の自然
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