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猿の嫁入り
更新日: 2013-08-21 (水) 13:54:53 (3873d)
民話
猿の嫁入り
田ぱ植えにゃんちゅうとに、じいさんの田んぼにゃ水が足らんで困っとった。
なんとか、田は植えたばってん、水が足らにゃあ実りの悪かごつなるもんじゃき、ひとりごつば言わしたったい。
「誰か水の世話ばしてくれんもんじゃろか。毎日たっぶり水かけばしてく守るもんのおっなら、娘ぱ嫁にやったちゃよかばってんなあ。」
じいさんのそん話ぱ猿が聞いとった。
翌日、水回りに行かしたじいさんなたまがらした。田んぼにゃ水がたっぶりかかっとる
「おうりや、こりや不思議、こげん水がいっぱいになっとるたい。誰のしわざかいな。」
すっと、田のくろから猿やつが出て来おって、
「どうかな、じいさん、約束どおり娘ぱ嫁に貰おうたい。あんたの言うたごつ、たっぶり水ばかけたつばい。あさって貰いに行くけんね。」
そげん言うて、山ん中さん入っていっちもうた。
じいさんな囲ってしもて一番姉さんに
「お前なあ、猿んとけ、嫁に行ってはくれふどか。約束ばしてしもうたったい。」
そげん言うと
「誰が猿んとけなんかいくもんかいた。」
ちゅうて相手にせんとたい。そっで真ん中ん娘に言うた。
「お前はどうかい。」
「あねさんの出けんこっあ、おんも出けん。」
そげん言うもんじゃき、一番末娘に頼ましたったい。
「おんな、今まじ可愛がってもろち、こげん太なったつじゃき恩がえしに嫁に行きまっしゅ」
はんどがめとかんざしばもろうて、迎えに来た猿と一緒に山さん行くこっになったった。
猿に、はんどがめばからぁせち、大川の一本橋ば渡る時、かんざしば川ん中さんわぜつ落としたったい。
「あらあら、かんざしば落としてしもうた。はよ取って来てはいよ。」
太か声でおらばたもんじゃき、猿やつはあわてち川に飛びこんだつたいね。
すっと、はんどがめに水がりこんで猿やっあ川ん底さん沈んでしもうた。
じいさんな、親孝行もんの末ん娘に、しんしょう全部やってしもうたちゅうこったい。
参考
索引 : さ
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