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火砕流
更新日: 2015-05-28 (木) 09:09:40 (3228d)
概要
火山の噴火によって火口から火山灰や軽石など破片となって放出されるものを
阿蘇火砕流の噴出は、約30万年前に現在のカルデラの内部の地域で始まりました。巨大な火砕流の噴出を含む噴火サイクルは4回ありました。各サイクルとその火砕流堆積物を古いほうから、Aso-1,Aso-2,Aso-3,Aso-4といいます。Aso-4を除く各サイクルには火砕流に先行する降下火砕物があり、Aso-2には火砕流後にかなり大規模な降下スコリアがあります。4回の大規模な火砕物噴火の噴火サイクルの中間には、より小規模の、現在降下火砕物のみが認められる噴火サイクルがあり、また、Aso-1とAso-2の間には溶岩流があります。
阿蘇火山の主な岩体の形成順序
阿蘇火砕流堆積物の年代はAso-1の約30万年前からAso-4の約9万年前であることが知られており、Aso-1からAso-4までのそれぞれの噴火サイクルの間にはかなり長い時間間隙があることが、年代値からのみでなく、野外の産状からも明らかです。阿蘇火砕流の活動の時期に、カルデラ西側では、Aso-1とAso-2との間に、砥川溶岩を噴出した赤井火山およびAso-3とAso-4との間に、高遊原溶岩を流出した大峰火山が形成されました。
山口県や島原半島に分布する阿蘇火砕流堆積物は海を渡った可能性があります。
Aso-4火砕流の軽石の平均見かけの比重は0.5であり、ガラス火山灰の基質と軽石とからなる非溶結堆積物の見かけの比重はおよそ0.5であり、ガラス火山灰の基質と軽石とからなる非溶血堆積物の見かけの比重は1より小さい場合が多い。
この様な火砕流の流動層の見かけ比重は1よりも小さい。流動層が海に達するとその構成物が底面から海水に捉えられて軽石が海面を覆い尽くすと考えられ、流動層の規模が十分に大きければ、流動層はその上面をさらに流送します、したがって、大規模な火砕流が平坦な海面を流送することは、複雑な地形の地表面よりもむしろ容易と考えられます。
阿蘇火砕流活動期の噴出物の体積については175立方キロメートルとされ、火砕流噴火では、上空高く吹き上がった火山灰が広範囲に分布することが知られており、この火山灰を火砕流起源の火山灰と言われています。約9万年前の火砕流噴火に伴う火山灰で遠方に降下して堆積したとされる火山灰層は、北海道東部で厚さ約15cmの堆積物が確認されるなど
、周辺の海域を含めて日本列島のほぼ全域に認められ、その容積は400立方キロメートルに達すると推定されています。
火砕流堆積物は一般に堆積時に低温であればシラス状の未固結の堆積物となり、堆積後も高い温度を保っていた部分は溶結凝灰岩と呼ばれる特徴のある岩石を形成します。溶結とは、ガラス細工で高温のガラスどうしがくっつきあうのと同じ現象で、溶結凝灰岩は、軽石、スコリア、ガラス火山灰などの構成物が高温でしかも粘性を保った状態で堆積し、くっつき合って生じた岩石です。大型の軽石やスコリアは高温と自重のために扁平化して円盤状になり、断面がしばしば扁平なレンズ状に見えるので、それらは本質レンズと呼ばれています。火山灰は細粒で、肉眼では均一に見えるため、そのような部分は基質といわれています。石灰岩片は変形することなく、角礫として基質中に含まれています。溶結度は、一般的に堆積物の基底から丈夫に向かって、基底の非溶結部、下部から中部の強溶結部、上部の非溶結部へと変化します。非溶結部と強溶結部との間には弱溶結部があって、それぞれは漸移しています。溶結部には、おもに冷却収縮による柱状節理が発達しており、柱状節理の幅は溶結度が低いほど広い傾向があります。各火砕流堆積物の間には降下火山灰・軽石などの堆積物が挟まれ、とくにカルデラ東側の地域では顕著です、これらの堆積物はほとんどが未固結または、半固結状態であり、溶結凝灰岩の基底の非溶結ぶととに侵食され易いため、柱状節理の発達と相まって、溶結凝灰岩の崖は鉛直に維持される場合が多くなります。
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