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火山荒原

概要

今日なお噴煙を上げている中岳の火口周辺は、植物にとっては非常に過酷な成育環境で、火山噴出物からなる土壌は強い酸性を呈し、肥料分も少なくやせています。
また、露出した土地は強い日射で乾燥し、雨が降ると表土はすぐに流出する。
その上、植物に有害な火山ガスや火山灰を浴びるなどの悪条件が重なっています。

しかし、そのような過酷な自然環境にも逞しく生育している植物があります。
人の立ち入りが禁止されている火口内壁上部斜面にはイタドリの小群落が見られ、その生命力の逞しさには驚かされます。
イタドリは、どこでも普通に見られる植物で、地下茎でも繁殖できることから火山灰に埋められてもすぐ芽生えて塚上の群落を形成します。イタドリは、阿蘇に限らず、日本各地の火山では火口に最も近い場所に生育している植物で、火口周辺に生育しているイタドリは、地上部が極めて矮小で、地下茎だけが異常に長く発達しており、肥沃な場所に生育している草丈が2メートルを超えるようなイタドリとはまるで別種のようである。

イタドリ群落の外側の火山礫がゴロゴロした場所にはコイワカンスゲの半球状の独特な形をした群落が見られます。
これも風で根元に吹き集まる火山灰の中に株を殖やしながら成長していった結果できた形状です。
コイワカンスゲ群落の外側にはカリヤスモドキとノガリヤスが生育しますが、これらはイタドリやコイワカンスゲのような独特の群落を形成することはありません。
火口から1~2キロの範囲に広がっている火山荒原に生育している植物は以上の四種に限られています。

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カテゴリ : 阿蘇の自然
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