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大規模草地改良事業

概要

利用度の低い土地資源が広く存在し、将来生産性の高い大家畜畜産経営を営むための条件と意欲を備えている地域について、国が行う大規模草地改良調査計画に基いて実施する草地改良事業です。
熊本県では昭和34年(1959)全国4地域の一つとして阿蘇郡小国郷が指定を受け、36年事業に着手しました。さらに調査地域を阿蘇郡一の宮町、阿蘇町、産山村に拡大し、39年度までに16,301㌶を対象に調査が実施されました。
事業は国営阿蘇草地改良事業として41年7月から開始され、49年度までの9ヶ年間に総事業費39億5,900万円が投じられました。これにより約2,000㌶の牧草地が造成されました。
今までに例を見なかった現地周年放牧飼養による12の酪農牧場と一つの公共育成牧場を含む13団地27牧場が誕生し、大規模畜産地帯が形成され阿蘇高原畜産に画期 的な指標を樹立しました。

成果と課題

成果

  • これまでの阿蘇地方における牛の飼養は、和牛においてさえ夏山、冬里方式を通念としていたが、乳牛を含め現地での年間放牧方式による飼養体験から新しい経営進路がひらけた。
  • 放牧における酪農経営については、ダニ熱の障害が甚だしく成立を危ぶまれていたが、ある程度の犠牲はやむお得ないとして、随時土地になれた牛を造成することにより自信を得た。
  • 入会慣行の原野を利用するため必然の課題である協業経営の適用により、閉鎖的営農から脱皮の糸口を得たことは、将来大規模圃場整備への進展との関連で意義は大きい。
  • 道路網の整備などにより、関係地域の土地生産性が急速に増大されるとともに、年間相当量の労働需要を生じつつあり、地域開発的見地からも効果を収めている。
  • 草地畜産を一つの例として実証した功績は高く評価され、阿蘇、九重、飯田地域高原開発構想の道標ともなっている。

今後の課題

これだけの事業を推進するためには実際的には幾多の問題があります。
事業の仕組み、ダニ熱を中心とした家畜衛生関係、資金調達、草地維持管理技術協業経営の運営、畜産物価格安定などの諸問題を抱えています。
この中には早急に解決できるもの、長期に渡り努力を要するものもあります。いずれせよ何らかの対応が必要で、要は経営する人達の意識が根本的なものと思われます。

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カテゴリ : 文化・歴史
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