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坊さんと狐

民話

坊さんと狐

万願寺の坊さんは、みやのはるに行く時は近道を通るために山の高いところの尾根ちいますが、高い所ばずうつとこう行よったところが、いっかけその狐がこう丁度行きよったとこが、雨がちいっと降り始めたんで傘ばポッとこうさしたちゆう。

その傘さしたのに狐が昼寝しとって、良か気分で寝とつたのに傘をパァッとさしたもんだけ、狐のやつがたまんがって、コンコンちゆうて逃げちた。

それからこんだあ、帰りがけに晩方に、ちいっと遅うなって遅うなったちや、やっぱ近道の山の方が良かろうちゆうとこで、坊さんが帰りよつたちゆう。

ところがお寺のいつも雇うとる下男が馬ば引っ張って来て、

「迎えに来ました」

ちゆうて。

それから、

「ああ、そら、わざわざ迎えに来て有難う」

ちゆうちから、その馬に乗っとったところが、行けども行けどもこう一晩中、こうこう、こうこう揺られちから行けども行けども帰りつかん。

ふっと東の空がああこうなって気付いた時にや石の上に一晩中乗って、こうこう、こうこうしとったちゆう。

そがいな話は子供の時、聞いたことがあるんですが。

参考

くらしのあゆみ 一の宮 -一の宮町 伝統文化研究会-
一の宮町宮地 岩永 寿(出典:関西外国語大学 三原研究室 阿蘇山麓の口承説話より)


カテゴリ : 文化・歴史
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