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ホトトギス

 ホトトギスの鳴き方を知っていますか。阿蘇では

「タンタン、タケジョ、オトトガコイシイ」

と、鳴くのだといい伝えられています。

 昔、阿蘇のある村に、仲のよい兄弟が住んでいました。兄は目が見えませんでしたので、弟の「タケ」は毎日(まいにち)野山(のやま)を歩き回り、山芋(やまいも)を探しては、兄に食べさせていました。

「兄さん、ただいま。ほら、山芋だよ。」

「ああ、ありがとう。お前にも苦労かけるね。」

 弟は一生懸命食べ物を探して歩く毎日でしたが、冬の寒い日などは中々見つからないことが多くなっていたのです。

 だんだん弟のとってくる食べ物が少なくなってきたので、兄は疑(うたが)い始めていました。

「タケ、お前は自分ばかりいいところを食べて、私には、端(はし)っこのまずいところを食べさせているんじゃないかね?」

「あんまりだ兄さん、そんなことあるもんか。」

 そして兄弟(きょうだい)喧嘩(げんか)が始まりました。言い争って、兄は弟の胸を突き飛ばしました。運の悪いことに、転んだ弟は頭を打って死んでしまいました。

 すると、不思議(ふしぎ)なことに兄の目が見えるようになって、やせ細(ほそ)った弟の姿を見たのです。やせて、ひ弱な体つきの弟が、いいところばかり食べていたわけはありません。

 兄は悲しさのあまり、泣き続けました。泣いて、泣いて、泣き続けたあげく鳥になってしまいました。

「タンタン、タケジョ、オトトガコイシイ」

 そう鳴きながら、阿蘇の野山を飛び続けるホトトギスになったのです。

参考

くらしのあゆみ 阿蘇 -阿蘇市伝統文化資料集-


カテゴリ : 文化・歴史
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