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キツネとタニシ

 あんな、山ん中におったキツネが

「何かよかもんなかろうか。」

ちゅうち、獲物(えもの)見(み)つけに里にやって来たちゃったいな。田のくろをあっちこっちしゃろきよったらな、田んぼん中かるタニシが話かけたちじゃもんな。

「キツネどん、わたしと向こうん山まじとびくらいごしゅい。」

キツネは

「うん、そりょあ面白(おもしろ)かろ。」

ちゅうち跳びくらいごするこちなったたい。タニシがな

「よーいどんばする前に、そのしっぽをこん田ん中につけなっせ。」

キツネは

「よーしきた。」

ちゅうちタニシの言うとおりしたっちたい。そして

「よーいどん。」

で向こん山までとびくらいごしたったい。山につくとキツネは

「あんのろすけタニシが今どこへんどん来よるどか。」

ちゅうち後ろを振り向いたと、そんひょうし、しっぽにすいついちょったタニシがポトンと下に落ちたちったいな。

「キツネどん、ここばな。わたしゃ早よ来っちょたたい。あんたおそかったな、わたしの勝ちたい。」

ち、いばったちったい。キツネどんな、うなずいてしもたちったい。

参考

くらしのあゆみ 阿蘇 -阿蘇市伝統文化資料集-


カテゴリ : 文化・歴史
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