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ぼた餅(もち)

 昔々、ある所に欲張(よくば)りなおばあさんがおりました。とても欲張りで、お嫁(よめ)さんに何もあげませんでしたので、皆からは欲張りばあさんと言われていました。

 ある日、おばあさんは親戚(しんせき)の家へ法事(ほうじ)に行かねばなりませんでした。その朝、近所の人からぼた餅を貰(もら)っていました。おばあさんは大分(だいぶ)隠(かく)し場所を探しましたが見当らず、重箱(じゅうばこ)のぼた餅に言い聞かせをしておきました。

「ぼた餅よ、ぼた餅よ。嫁来たならタンナ(カエル)になれよ。」

といって出掛(でか)けました。それを次の部屋のお嫁さんが聞いていました。
“ようし、何時(いつ)もおばあさんに意地悪(いじわる)されているから、今日は仕返(しかえ)しをしてやろう。”
と思い、重箱のぼた餅を全部食べてしまい、タンナを2~3匹入れて置きました。
 やがておばあさんが帰ってきました。そして、重箱を開けると、タンナが跳び出しました。おばあさんは、びっくりして、

「嫁ではないぞえ、ばばぞえ、ばばぞえ。」

と言い、それからは良いおばあさんになりました。

参考

くらしのあゆみ 阿蘇 -阿蘇市伝統文化資料集-


カテゴリ : 文化・歴史
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