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かんぽの宿阿蘇-河崎秀行

人を思いやる、ということの意味が胸に沁みた。



思えば反抗的な子どもだった。と、河崎秀行さんは自らを振り返る。人と相対するのも苦手だった。
それが、縁あって接客業に従事し、「かんぽの宿阿蘇」のフロントに携わるようになり、自分でも不思議なほど仕事が楽しくなっていった。
訪れる客は高齢者が多い。「祖父母と同居していたので、ごくふつうに接することができたのかもしれません」。もともと心根の優しい少年だったのだ。
そして熊本地震。真夜中、自宅から駆けつけ、夜が明けるにつれて、これは只事でないと知る。避難してくる人が続々と増える。ロビーの椅子に仮眠し、無我夢中で対応した。
そうしたなか一台のトラックがやってきた。福岡から自主的に支援にやってきた市民だ。個人だから支援物資はけっして多くない。
だが、それを受け取ったとき全身が震えた。感動とはこういうものか、と生まれて初めて思った。
ほとんど食べ物らしい食べ物を口にせず、最後の一人が帰るまでここを離れるまい、「自分の勝手な決め事ですが」そう決めた。
大きなサプライズが待っていた。そろそろ避難所の役割も終えようかというころ、一枚の紙を見せられた。避難していた人びとの寄せ書きの感謝状である。
「生意気な子どもで涙など流したことなかったんですが」、ボロボロ泣いた。


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カテゴリ : 行政
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