ホーム > うめき木
うめき木
更新日: 2010-03-19 (金) 22:35:26 (5124d)
昔、阿蘇神社の楼門(ろうもん)を建てかえることになって、適当な大木(たいぼく)を探していました。ちょうどその時、乙姫(おとひめ)の下谷鏡山に1本の大木がそびえていたので、皆の意見がまとまり、それを楼門の柱用に切り出すことになりました。
早速、こびきが大鋸(おおのこぎり)で切り始めました。あまり大きいので1日では切れません。途中でやめて翌朝行ってみると、切口がつながっていて、また最初から切らねばならないのです。
人々は話し合って、昼夜を通して切ることにしました。夜はたき火、松明をたいて、ようやく2日掛りで切り倒しました。そして、枝を落し、長さを合せて切り、道に出して馬に引かせるばかりにして帰りました。
翌朝、馬を何頭か引いて行ってみると、その木がありません。よく耳をすますと、深い谷底からうめき声がきこえるのです。みんなはびっくりして谷底へ行ってみると、道にあった木が谷に転がり落ちて
「うーん、うーん。」
と、うめいているのです。どうにかしてその木を谷から上げようとして、大勢の人が力を合わせますが、決して動きません。人々は、とうとうその木を楼門の柱にすることをあきらめました。その大木は、その後も長く谷の川底に沈んだまま
「う-ん、うーん。」
と、うめいていたので、人々はそれをうめき木とよびました。そして、うめき木は今もなお、その谷底に横たわっているといわれています。
参考
索引 : う
このページのURL: